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春日大社の「砂ずりの藤」は名高いが、「砂ずり」は名ばかり。ことしも砂ずりの藤は砂をするどころか人の頭さえすらない。
長けりゃいいってものでもないけれど。
シャクナゲは当たり年というが、藤はここだけでなく兵庫県宍粟市の千年藤(大歳神社)もひどく短く、不作の年といえそう。
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藤の短さは特筆もの。評判を聞いて訪れた観光客はがっかりしているでしょう。
巫女さんは大きな藤のかんざしをさして、若い外国人女性(最初の画像)は藤を一瞥しただけで素通り。
注目に値しなかったのです。
万葉の昔より歌に詠まれた藤は、源氏物語、枕草子にも登場しており、平安期から観賞に値する花とみなされた。
その理由はおそらく当時、最上の色とされた紫色であり、藤は藤原氏を連想させたからだろう。春日大社は藤原氏の
氏神として造られたこともあって、ここぞとばかり藤が植えられている。
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花の多くはただ咲いているだけで美しいと思うけれど、背景に神社仏閣の建物の一部が入ると、写真にならない花でも絵になる。
砂をすらない藤も、背景がよければなんとか絵になってくれる。
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短い足を長く見せるために下から撮影。
砂ずりの藤は樹齢800年という。鎌倉時代以来の藤も当たり年には1mの長さまで伸びるが、ことしは60cmほど。
人間の身長が毎年伸縮をくり返したら恐い。
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うしろにぼんやりと野生の白い藤が咲いているのは春日大社東の御蓋山(みかさやま)。
名だたる神社に参拝して思うのは、神官は植物をどうみているかということである。宮司、権宮司など高位の神官は植物のことは
禰宜以下の神官(権禰宜あたり)とか誰かほかの者が考えればいいとでも思っているのだろうか。
英国では中世以降、神父(ヘンリー8世以前)や牧師などの神職は植物学の造詣が深く、薬草、食草はむろん、観賞用の花についても
研究熱心であった。平安時代の医書「医心方」(984年に朝廷に献上)を編纂した丹波康頼(912−995)のような医学博士は別として、
本邦において公務でお忙しい今上天皇は農学、植物学に明るい。たいして忙しくもない神官は神事ほかに専念し、花は庭師にお任せ。
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春日大社本殿の南西には釣灯籠(左)の社殿があり、向かいの直会殿にも釣灯籠がかかっている。
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釣灯籠の裏、西側にのぞむのは野生化した藤で、長さ1m以上に達する。
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境内のそこかしこに藤を見ることができる。春日大社の社紋は藤。
この棚の藤は「砂ずりの藤」より房が長いのもある。それでも1m弱くらい。
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大銀杏は樹齢700年という。
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西日があたって左側は鮮やかな色。
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春日大社は萬葉植物園を含むこのあたりを神苑と呼んでいる。
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萬葉植物園の中でもこの時期、入場者はいっせいに藤園をめざす。
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麝香から連想するのは強烈な匂い。かぐわしいというより異臭に近い匂い。過ぎたるは‥‥。
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ガーデニングの意匠という点でイングリッシュ・ガーデンのほがすぐれているが、多彩な色と色の出具合は見事。
英国の藤は小ぶり大ぶりまでさまざま。棚ものでステキなのはキングサリ。アーチ状の棚にたっぷり垂れ下がる
キングサリは初夏の風物詩。5月下旬〜6月上旬、ゴールデンイエローの花房をつける。
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ここまでが春日大社&萬葉植物園の藤。
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兵庫県宍粟市の大歳(ださい)神社に平安時代(960年)植えられた藤は千年藤と呼ばれ、県の天然記念物。
一本の藤は根の周囲2、8m、高さ2、75m、面積360u(約110坪)。そんな藤が2本植えられている。
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樹齢、樹木の大きさ、藤房の長さ(1,5m以上におよぶものもある)、色、香りとも申し分ないけれど、周囲の景色がよくない。
商店、住宅が多すぎて、避けようとしても視界に入ってくるのだ。したがって、そこをカットしないと絵にならない。
千年藤は2006年5月9日撮影。
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藤色の雨が降っているかのごとくである。(上の2枚の画像とは別の藤)
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